第二話 隠れアジトのレイヴン



 隠れアジト内のとある部屋に、二人のレイヴンがいた。 一人は椅子に座り……もう一人は床に座って、壁に背中をつけていた。

「それにしても……あいつは、無事だと思うか?」

銀髪、碧眼の青年が言った。椅子に座っている方の男だ。
その青年の名は、リュウト……長くたなびく銀髪が目立つ、成人して間もないといった感じのレイヴンであった。 顔は、悪くもない。 体格は、レイヴンであるためか……屈強そうである。 正確に戦況を判断し、味方を勝利に導くことから、『神智のレイヴン』という異名がついたレイヴンである。

「はぁ?何言ってんだよ、お前は!無事に決まってるだろが。ったく、これだからまじめ君は……」

短めの金髪、青い目の男が言った。床に座り、壁に背中をつけている方の男だ。
年は、リュウトとあまり変わらないようだ。 男の名は、シア……片目に眼帯をつけたレイヴンである。 体格もリュウトと大差なく、顔も悪くない。明るい性格で、周りの者からもよく好かれているレイヴンだ。 戦況判断をあやまり、ピンチに陥るときもあるが……実力は低くもなかった。

「そうだといいんだがな……。なにせ、敵のど真ん中に潜入するんだ……なかなか無事にすむようなものでもない」

リュウトが、心配げに話す。シアは、まったく心配していない顔のままで言う。

「大丈夫だって……そんなに心配すんなよ」

一時の静寂……それを乱すように、通信が入ってきた。

「ガガ……ガ……ピー…聞こえるか?隠れアジトに敵が迫っている……俺も、すぐ戻る。今すぐ、戦闘準備を……」

「スカー……スカーか?一体どういうことだ?説明してくれ」

リュウトが素早く反応して、声を返した。しかし、通信から返ってくる声はなかった。

「いやな予感がする……」

リュウトが、静かに言った。シアはうなずき、それに続いて言った。

「ああ……俺も同感だ。やばげな匂いがぷんぷんするぜ」

二人は、一目散に走り出した。ガレージに向かって、二人は走った。
ガレージに着くなり、二人はACに乗り込む。一体は、緑の迷彩色をしており……もう一体は、白色だった。 その二体のACは、出撃するなり、隠れアジトからどんどん離れていった。 敵を迎え撃つというわけでもなく……二人を乗せたACは、どこかへ消えてしまった。
「おい、やべぇぞ……ここが襲われるらしい」

「まじかよ……どうする?」

隠れアジトのいろんなところで……他の、隠れアジトのレイヴン達が話し合っている。 どうやら、隠れアジト全体に通信が入っていたらしい。 しばらくの会話の後、隠れアジトの他のレイヴンも、姿を消した。 どこかへ消えてしまった。一方……ロクやオルクにも、通信が伝わっていた。 オルクは、ロクの手伝いをしていたため、一緒にいたのである。

「これはまずいですね……すぐに、戦闘準備ですよ」

ロクは、事態を瞬時に判断してそう言った。顔には、あせりの色が出ていた。 リニューアル作業中である隠れアジトは、壁などが改装途中である。 もちろん、全ての壁が改装されているわけではない。 だが、部分的に弱い部分がある。 こんな状態で襲われれば、隠れアジトはもたないであろうと……目に見えて分かっていた。

「僕もお供します!」

オルクが、椅子から立ち上がりながらに言った。
二人は部屋を出て、ガレージに急いだ。 通信は、全員に伝わっているはずだ……ならば、みんな集まっているはず。 そう考え、ガレージのシャッターを開けた。しかし、そこには誰もいなかった。 ロクは、おかしいと思いつつも、愛機である『六夜月影』に乗り込む。
六夜月影の色は、藍色が主体であり、少し青みがかかっていた。 中量二脚で、平坦な頭部パーツが特徴的である。 肩武装にはレーダーとビット……右腕にはハンドガン、左腕にはスナイパーライフルを装備していた。 なお、エクステンションに、連動ミサイルを装備していた。

「さぁ、行きますよ!」

ロクが、つぶやく。その声に従うように、六夜月影が動き出す。
オルクのACも、続けて動き出した。
オルクのAC名は、『オーディン』という。 オーディンは、軽量二脚……頭部は、CHD−SKYEYEというものだ。 色は灰色で、ペイントされていなかった。 通称『サムライ』と呼ばれるブレードの武器腕を持っており、肩には、レーダーとロケットが装備されていた。
二体のACはブースターによって、前方に滑走を始めた。ガレージの出撃口を閉ざしているシャッターが開き、二体のACが外に飛び出した。 ブースターをふかしながら、ゆっくりと着地する。レーダーを見るが、敵の反応はない。 そして、味方の反応もない。二体のACのみしかいなかった。
しばらくして……遠くに、敵の姿が現れた。その先頭には、赤いACがいた。 距離は遠いが……赤いACがそうとうなダメージを受けていることが確認できた。 火花を散らせ、いまにもやられてしまいそうな赤いACが……確認できていた。 レーダーにも反応が出るような距離まで、赤いACと敵軍が近づいてきた。 その時、唐突に……赤いACから通信が入ってきた。

「た、助けてくれ……こんな大軍、俺一人ではどうすることもできない」

ロクとオルクが、通信の音声を聞き取った瞬間……赤いACは複数の弾をくらい、黒煙をあげて沈黙した。 複数の弾は、最前列のMT部隊による集中砲火であった。 それによって、赤いACは一瞬にしてやられてしまったのである。

「なんて、卑怯な……あなた方は、絶対に許しませんよ」

ロクが、怒りを込めて言っていた。


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