かくして、隠れアジト崩壊の危機は去った。 リニューアル作業も着々と進み……問題は発生しなかった。 死んだと思われていた赤いACのパイロット、スカーは生きていた。 ただ、しばらく……彼は、隠れアジト内の医療施設に収容され、療養していた。 そして、今はもう元気になったようだった。 数名のレイヴンが死に、オルクは行方不明となっていたが……そのようなことは、レイヴンである以上はあってもおかしくないことであり……みんな、もう気にしていなかった。 リニューアルが近づき……隠れアジトを憩いの場にする者、また、そこで生活している者……みんな、喜びに満ちている。 その中に、あまり浮かれた顔をしていない者がいた。みんなが集まっているところからかなりの距離をおき、部屋の入り口に立っている男がそうだ。 それは、リュートであった。 うつむいたままで、どこか元気がない。 他の者とは対照的である。 ロクは、集まりから離れて一人でいるリュートに気づき……リュートに歩み寄った。 そして、ロクは話しかけた。 「やはり、あなたはすばらしい指揮能力を持っていますね。 あなたがいなければ、これほどの被害ではすまなかったでしょう」 ロクの第一声は、リュートを称賛して言ったことである。 しかし、リュートはあまり嬉しくなさそうだ。リュートはうつむき、沈黙を続けていた。 「あれ……どうしたんですか?私が、何か悪いことでも?」 リュートに元気がないのに気づき、ロクは、心配して言った。 「あんたのせいじゃない……私一人の問題だ」 リュートはうつむいたまま、静かにそう言った。 それを聞き、ロクは、リュートの肩に左手をのせながら言う。 「困りごとは、一人で抱え込むものではありませんよ。 みんなに話してください……せめて、私だけにでも。 一人では、解決しないこともあるものです」 リュートは、ロクの左手を肩から外しながら、上を向く。 そして、天井でもロクでもない……いずことも知れぬ場所を見つめながら、答えた。 「いや……これは、人に話しても仕方ないし、私個人で解決すべきものだ」 「そうですか……分かりました。悩み事を解決して、早く元気になってくださいね」 ロクは、にっこり微笑んでそう言った。 「ああ………」 リュートは、短くそう答えた。そこへ唐突に、スカーが走りこんでくる。 「ロ、ロクさん!『彼』が帰ってきました!」 スカーの顔は嬉しさに満ち溢れ、涙を流している。 ロクは、一瞬、誰のことだろうと思ったが……すぐに、誰のことか思い当たった。 「『彼』?まさか……」 「そうです!『彼』が帰ってきたんですよ……」 スカーは、ロクが気づいたのを察し、そう言った。 コツコツと、ブーツが床を打つ音が聞こえてくる。 その音が止まったとき……そこには確かに、オルクが立っていた。 「ロクさん、お久しぶりです……いろいろとあって、帰ってくるのが遅れました」 「なにがあったかなんて、どうでもいいですよぅ……帰ってきてくれて嬉しいですよ。 みんな、てっきり……死んだものとあきらめていましたから」 ロクは、眼に涙を浮かべて言っていた。 そして、オルクの背中を押しながら言った。 「さあ、みんなのところに行きましょう!みんな、喜ぶはずですよ」 オルクも嬉しいらしく、涙を流していた。 そして……ロクに背中を押されながら、みんなが集まっているところに行った。 「おお!オルクじゃねえか!よく帰ってきた」 「オルクさん……お帰りなさい」 「心配したぞ……無事でなによりだ」 隠れアジトの面々が、オルクの帰還を喜んで口々に言っていた。 もう死んだものだと思われていたため、オルクの帰還はより嬉しいものとなっていた。 みんな、涙を流していた。 「隠れアジトのリニューアルがそろそろ完了しますねぇ……年も明けますし、お決まりの挨拶といきましょうか」 ロクが、涙を手で拭い、そう言った。 ロクに続き、みんなも、涙を手で拭う。 みんな上を向き……そして、一緒に口を開いた。 「あけましておめでとうございます!」 何も知らぬものが見れば、誰に言ってるんだという感じだが……それは、隠れアジト……つまりは、マザーコンピューターに向かって言ったことであった。その声に反応し、隠れアジト……いや、マザーコンピューターが返事をした。 「明けましてオメデトウございマス」 <あとがき> まず始めに・・・この小説は急きょ、完成させたものです(ぇ。 リニューアルされるという話が耳に入るのが遅れ、作ろうと思い立つも、なかなか進まず・・・あげくの果てにリニューアルぎりぎりに(オイオイ。 わざと書かなかったところもあります・・・それは、そのうち番外編か何かで出てくるかもしれません。ここまで読んでくださった方、ありがたく思います。 また、たいそうなタイトルにも関わらず、私の実力不足であまりよい作品に仕上がらなかったような気がします・・・ロクさん、申し訳ありません(オイオイ。 この小説で初めて、ACによる集団戦を書いたわけですが、どうだったでしょう?できれば、感想などいただきたく思います。 では・・・今年もがんばっていきましょう(そんなオチかよw。 |
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