第五話 ライバルその三

『バシュッ』

いきなり黒い逆関節ACが右腕に装備されているショットガンから弾が発射された。

「くっ!」

メイは叫びながら敵ACに標準を合わせた。

「くそっ!当たれ!」

【エスペランサ】のライフルから火が吹いた。

『バスン!』

敵ACは軽々交わしメイに通信をしてきた。

「そんなものか?ルーキー!」

「うるさい!!」

メイが反論すると敵レイヴンが笑いながら答えた。

「くくくく…非世っ子が。」

敵レイヴンはそう言うと右肩に装備されている小型ミサイルに切り替え連続して発射した。

『ボボボボボンッ』

エクステンションの迎撃ミサイルが発射されたが2、3発当たってしまった。

「くそっ!」

「大丈夫か?」

オーグから通信が入った。
メイは冷静に答えた。

「大丈夫。かすっただけだ。COM、敵ACの分析をしてくれ。」

「敵AC分析。ランカーACマッドクリチャーです。」

「マッドクリチャー?」

メイは聞いた事がない様だった。
その事を知ってかCOMは続けて説明した。

「敵ACの現在の武装はショットガン、ブレード、小型ミサイルです。戦闘スタイルは主に接近戦からのショットガンとブレード攻撃を得意としています。遠距離からの攻撃をお奨めします。」

「遠距離からの攻撃…。僕に出来るか?」

メイはそう呟くとエスペランサは後退した。

「逃げるつもりか?それもいいだろう。」

敵レイヴンはニヤリと微笑してもう一度、小型ミサイルを発射した。

「なめるな!」

同時に【エスペランサ】からマイクロミサイルを発射した。

『バシュッ』

「ぬっ!?」

敵レイヴンは操縦を誤った様みたいで【マッドクリチャー】は全弾直撃し周囲に煙が包んだ。

「やったか?」

『ブーーーーーーン…』

「何の音だ?」

メイはモニターごしに周りを見渡した。すると真正面の煙からショットガンを構えた【マッドクリチャー】がOBで突撃してきた。

「オーバードブースターか?!このぉ!」

メイはそう言うと【マッドクリチャー】に反応して【エスペランサ】はライフルを連射した。

『バスン!バスン!バスン!バスン!』

「甘いな。」

敵レイヴンが呟くと高速で発射されるライフル弾をさきほどと同じように軽々交わし上昇した。

「もらった!」

「しまった!」

『バシュン』

上昇した【マッドクリチャー】から8発の弾が発射された。8発の鉛弾が【エスペランサ】の装甲板を傷つけた。

「くそっ!まだいけるはずだ!」

メイは機体チェックをせずにライフルを構えようとした。

『ガコッ』

「なっ!?」

【エスペランサ】の右腕が上がらなかった。

「右腕関節部分に制御システムエラー。」

COMが異常を発した。

「何だって?!まさか…でもまだミサイルがある!」

メイは一瞬で冷静さを取り戻し機体チェックのサブ画面から前の敵ACに目線を移した。
【エスペランサ】はマイクロミサイルに切り替えブースト移動で【マッドクリチャー】に接近した。

「ハハハ!気が狂ったか?それとも只の馬鹿か!?」

敵レイヴンはそう吐き捨て愛機に装備されているショットガンを構えた。

『ボバシュッ』

マイクロミサイルの発射と同時に【マッドクリチャー】のショットガンが発射された。
【エスペランサ】の装甲板が更に抉られる。だがメイは損傷を気にせずそのまま【マッドクリチャー】に突っ込むとレーザーブレードを構えた。

「な!?心中する気か?」

「くっ!まだいける!もってくれエスペランサ!!」

メイは願いながらレーザーブレードを振り上げた。

『バスッ』

レーザーブレードの斬りつけ音が周りに響いた。

「こ、こいつ!!やはり只の馬鹿か!こんな真似をするとは…!」

その時、火花をあげる【マッドクリチャー】のCOMから通信が入った。

「損傷大。直チニ戦闘区域カラ離脱スル事ヲオ奨メシマス。」

「フフッ…そろそろ潮時か…。楽しかったぞルーキー。また会えるといいな!」

敵レイヴンは機体の動作チェックしブースト移動をして傷めた【マッドクリチャー】を労わるかの様に上昇。そしてOBでその場を去って行った。
メイは追う事が出来なかった。いや追って行っても勝ち目はないと悟っていた。

その時である。

「そこのAC!武装を解除し、こちらに投降してきなさい!」

ミラージュの警備MT部隊だった。
どうやら戦闘が終わったのを確認してこちらに向かってきたようだった。

「こんな時に…。」

メイは愚痴る様に肩部のマイクロミサイルをMTに向けた。

「攻撃をする気か!?」

『ガシャン』

その時である。東北の方向が光ったと思うと所属不明のACが間に割って入ってきた。

「な、なんだ!?」

MTパイロットがそう言うとACが警備MTを攻撃した。

『キュィーン…』

何やらエネルギーを貯めるような音がしてから

『バシューン』

ACから高速でレーザーが発射され警備MT部隊の装甲を貫いた。

「な、なんだ?何が起こったんだ?」

メイが状況が把握出来ないでいるとACのパイロットから通信が入った。

「…レイヴン。今のうちに…離脱しろ。」

男性らしき声が聞こえてきた。

「あ、あぁ…了解。」

メイは訳も分からず輸送ヘリを呼び帰還する事にしたのだった。





メイは休憩室で疲れた体を休めていた。
あれからメイはガレージに【エスペランサ】を格納してからコムに右椀部の関節部分にエラーがあった事を報告してから心配するオーグを振り払い今日、起こった出来事を一服しながら一人休憩室で考えていたのだ。
その時である。メイの疲れた体に更に追い討ちを入れるかのようにマーブルがメイを発見した。

「あ、ここに居た。」

「あ、あぁ。待たせたかな?」

「いえ、大丈夫です。」

何が大丈夫なんだか…っとメイは思っているとマーブルが続けて言った。

「取りあえずどうしますか?」

メイはその言葉を聞いて思い出した。
そうマーブルと今後のお互いの為に同居のルールを決める事を約束したのだ。

「ルールか。そうだなぁ…。」

メイとマーブルはその後、約30分位話した結果、下記のようになった。

まずはレイヴン関係から
・お互いの仕事、プライベートに意見、検索はしない事。
・レイヴンとして情報を漏らさない事。しかし共同のミッション内容等の情報は可。
・連絡は本人が直接、電子メールで済ませる。(オペレーターからの伝言も可)
部屋での私生活
・風呂は仕事が速く片付いた者が先に入る。(ほぼ同時の場はマーブルが優先)
・ベッドはマーブルが所有する。メイは地べたで寝る事。
・食事は各自で行う。
・マーブルの前で煙草は吸わない。(メイ用)

この様になった。
結構、メイに不利な内容が多いのはメイが途中で投げ出してしまったからである。
流石に今日のミッションが疲れたのであろう。ルールを決めると直ぐに床についた。
そんなメイを見てマーブルは何かを悟ったようで寂しそうな眼差しをしていたのだった…。


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