Vol.1(プロローグ)

暗い…ここはどこだろう…

「…レ……ン…ます…か」

誰かの声がする…誰だっただろう…思い出せない。

「レイヴン…聞こえますか?」

その名を呼ぶな…

――――――――――――――――――――――――――――――――――

ーとある住宅地にてー

「黒月!!いつまで寝てんの!?」

スラムと呼ばれる地帯の住宅街の中ので激しい怒鳴り声が聞こえた。
今は朝…と言うには少々遅い昼に近い時刻、その声を聞いて少年はベットから跳ね起きた。

「あ”…今何時だ?」

「もう11時だよ…今日予定されてるレイヴン試験まであと1時間だね」

「クレス…起こすのが遅いぜ」

「何で僕に振るかな〜、黒月が早く起きれば良いんだよ。さ、さっさと朝ご飯食べて行って来い!」

黒月と呼ばれる少年が着替えを済ませ、リビングに出てみると食卓には朝ご飯が並んでいた。

「…これ、お前が作ったのか?」

聞かれた少年は少し自慢げにうん、と返事をした。

「今日は大事な日なんだろう?カロリー高いものにしといたよ」

「ありがとな」

答えた少年は微笑し、席につき手早く朝ご飯を平らげ始めた。

―――――――――――――――――――――――――――――――

Silent line崩壊から3年が過ぎていた。
各企業は衛星砲や無人AC、無人要塞などから受けた被害を建てなおし着々とその勢力を拡大していた。
もちろん、レイヴンと呼ばれる傭兵は健在で、まだ戦場での中枢となっている。各企業は開発に躍起になってるが、何にせよ地下のレイヤードのこともあるので地上での開発はまだまだ続きそうだ。
この前手痛い損害を受けたばかりの各3大企業は失われた文明の着手はなるべく避け、自社の技術の向上主な行動としていた。

企業は失われた文明の着手は控えたが、当然他社への妨害工作や争乱は絶えず、地上でも地下と同じく“スラム”と言われる地帯ができていた。

黒月はこのスラムと呼ばれる地帯に6歳の時から住んでいるときいている。(現在17歳、
何故わざわざこの危険な地帯に住みついたか。普通はそれを聞くのはタブーとされているので幼馴染みのクレスは黒月が何故ここに住みついたのかは分からない。
黒月もわざわざクレスに話すことは無かったのでクレスも余計な詮索はしないようにしていた。
クレスはやはり訳ありで8歳の時からスラムに住みついていたが、1歳年上の黒月と気が合い、一緒に食料庫から食料をあさってきたり、生活必需品なんかを盗って来たりしていた。

ただ、14の時にいきなりー

「俺はレイヴンになる、クレス、少しばかり世話になるかもしれん」

こう言って来たのだ。はっきり言って訳が分からなかったが、それから同居生活が始まった。
ただその決意は固く何を言っても聞かなかったので、クレスはただ傍観していたが、次第に毎日黙々と激しい訓練を積み重ねる黒月を見ていて自分も何かをしなければと思い始めた。
何の訓練をしていたかは黒月には内緒にしているが…

「じゃあ、行って来るな」

「ああ、ま、頑張ってきなよ」

そう言って黒月は玄関から出ていき道路を駈け抜けていった。
3年の訓練の結果が今日試される時が来たのだ。

「さ、僕も準備をしなきゃな」

クレスは一人そう呟くと家へと戻っていった。


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