Vol.3

――――――――――――【邂逅〜Time say good-by〜】Vol.3―――――――――――
【重装騎士】

「いや、俺の目的は施設防衛であって、お宅らと戦闘することでは…」

デュランはフォローを入れたのだが…

「チッ、結局こうなるんじゃねえかよ。さっさと撃っておけば良かったじゃねえか!」

「うるせぇ!!つべこべ言わずあの機体に攻撃しろ!!」

「…どうやら、聞いてないみたいね」

仕方なく、サンドガーディアンも戦闘体勢に入る。
仲間に罵声をかけられ、4脚ACカタパルトは主武器をショットガンに変更し、ブーストでサンドガーディアンに接近してくる。

「おらおらァァッ!!」

カタパルトは中距離でショットガンを乱射し、ブーストで後退するサンドガーディアンを追い詰めて行く。距離がかなりあるため、サンドガーディアンは大して被弾せず、ショットガンの大半は後方へ流れて行く。

ピピピピ…

サンドガーディアンのコクピット内でデュランがスコープを使い、狙いを定める。そして狙いをカタパルトの“下部”に定めてトリガーを引く。

「この機体名…ただの酔狂ではないぞ」

バズン バズン

重い火薬の発射音と共に2度バズーカ弾を発射する。カタパルトは武装をチェーンガンに切替え、バズーカを打ち落とそうとするが…

「なに、目くらましが目的か!?」

バズーカ弾はカタパルトの脚部付近の地面に着弾し、大量の砂埃がカタパルトに振りかかる。そして3つのミサイルが砂塵の中から襲いかかる。視界が悪く、カタパルトは右腕部にミサイルをもろに受ける。

「グァァ……チッ…ショットガンがイカレた!!スティン、なにやってる!!」

「こっちも砂塵の中から攻撃を受けている!!くそ、名の通ってない機体のクセにやたら戦場慣れしてるじゃねぇか!!」

騙されたとばかりにスティングレイのパイロットが怨嗟の声をあげる。スティングレイも襲ってきた3連ミサイルが機体の周囲に着弾し、砂埃の中から攻撃を受けていた。
砂が機体に振りかかってくる音と共にかすかに聞こえる呼吸音…
次の瞬間砂を割り、青い光り現れ、カタパルト目掛けてスライドしてくる。慌てて左腕のブレードを展開し、月光を受け止めるが、OBの推進力のせいで2機は剣を交わらせたまま慣性に沿って後方へ後退する。

「クッ…こいつ!!」

カタパルトは敵機を引き離そうとチェーンガンを展開するが、それよりも早くサンドガーディアンはコアへ向かってバズーカを構えていた。

「!!」

「悪いな、これも仕事だ」

いつも陽気な彼の口から凍りつく一言が発せられる

バズン バズン

ほぼ零距離で中量2脚のバズーカが重い発射音をたてる、黄色い光を纏わりつかせ、カタパルトの4脚が一瞬空中に持ちあがり、コアの装甲を抉られながら地面へと大きな音を立てて着地する。間髪いれずに、蒼く光るブレードがカタパルトの頭部パーツを跳ね飛ばす。

「貴様、よくも!!」

呆然とその光景を見ていたもう一機の軽2足ACは両腕のマシンガンを構え、サンドガーディアンの背後を取り、マシンガンを乱れ撃ちする。

「カタパルトの仇だ!死ねぇ!!」

“いや、生きてるぞ”と、カタパルトからスティングレイに通信が入っていたがマシンガンの発射音でかき消されて、彼には聞こえているかどうか…
容赦なく撃たれたマシンガンの一斉放火により、サンドガーディアンの周囲は着弾の煙が立ち込める。
数十発ほど放った後スティングレイはマシンガンを撃つのを止める。モニターにはHITの表示…

「…ハァ…ハァ…やったか!?」

刹那、粉塵から緑色の光りが点灯し、EX追加装甲のはがれたサンドガーディアンがOBをしながら粉塵から姿を現し、空中からのサイドアタックをしかけてきた。

「くそ、全てガードしてやがったか!!」

「追加報酬…高くつくぜ」

スティングレイは機体を旋回させ、空中にいるサンドガーディアン目掛けてマシンガンを放つが、火線は旋回しながらOB接近してくるサンドガーディアンにすれすれの所で当らず、むなしく空に吸い込まれる。

「うあぁぁぁ!!」

スティングレイのパイロットが絶叫を上げる。サンドガーディアンはそのままブレードを形成し、上部をすれ違いざま鮮やかな動作でブレードを下段から掬い上げるように振るい、スティングレイの右腕をコアから切り離す。

「最後だ…なに、命までは持っていかねぇよ」

デュラン空中で機体を旋回させ、敵ACの右肩部に狙いを定め、バズーカを2発打ち込む。狙いはたがわず装甲の薄いスティングレイの右肩に着弾し、2発目で右肩部から下を破壊する。両腕を失った軽2足ACはその場で片膝をつき、その機能を停止させた。

ヒュゥゥゥゥン…

センサーアイの光が消える。バランサーの機能も停止し、スティングレイは前のめりに倒れる。

「グハッ!!…ここまで……なのか…」

とどめを刺されると思ったパイロットは無意識的に目の前の赤いACを睨んでいたが、赤いACはバズーカの構えを解き、ブーストを使い、機体を少しだけ浮上させる。

「悪いが、俺の目的は施設の防衛なんでな。天国への片道切符はお預けだ。早めに修復終えて離脱するんだな。クレストが追ってくるぞ」

そう言ってデュランはオペレータとの通信回線を開く。

「排除完了、これより帰還する」

「了解、早かったですね」

こうなると予想していたのか、ティナは微塵も心配した様子が無い口調で返答する。

「…少しは心配しても良いんだぜ?」

「意味分からないこと言ってないで早く帰還しなさい」

明かに憮然とした返答…

「りょおかい」

そう言ってまた通信回線を閉じる。機体を旋回させ、捨て台詞を残し、OBを発動させる。

キュゴォォォォ!!

「ま、同じ2丁拳銃でもアイツとはスキルが大違いだったな」

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――酒場【夢瑠璃】――

「……クシュンッ!!……風邪…か?」

「何とかは風邪を引かないとかぁ〜」

「…なんだと?」

「あれ?安い挑発には乗らないんじゃなかった?」

「おいおい、二人とも店内でお痛はだめだぜ。客が怖がる」


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